奈良市の空き家相談はどこへ?住民15名に調査した相談先と相談後のリアル

株式会社北和エステート(代表者:吉田 璃紗)は、奈良県奈良市在住の方15名に「近所の空き家」についてのアンケートを実施し、そのデータをまとめました。
近所の空き家が気になっている方、実家などの空き家を持っている方。どちらにも知っておいてほしい、奈良市の住民15名の本音を紹介します。15名中14名が、空き家の前を通るときに不安を感じていました。それでも15名中13名は、所有者と直接やり取りできずにいます。そこで住民が選んでいるのが、奈良市などの窓口への相談です。相談後に何が起きたのか、相談前にしておきたい準備、そして空き家を持つ方が知っておきたいことまでまとめました。
この記事でわかること
- 回答者の9割超が通行時に不安を感じる、近所の空き家の困りごと
- 8割超が所有者に「言えない・分からない」と答えた、住民の本音
- 回答者の8割が選んだ奈良市の相談先と、相談した人が全員「時間がかかった」と語る改善までのリアル
- 空き家を持つ方が知っておきたい、近所の声と市の対応の流れ
アンケート調査概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査対象 | 奈良市在住の方(近所の空き家について回答) |
| 回答者数 | 18名(うち有効回答15名) |
| 居住年数 | 10〜20年未満11名、3〜10年未満3名、20年以上1名 |
| 注記 | 本記事は統計調査ではなく、実際の居住経験者の声をまとめたものです。 |
近所の空き家で困ること|15名中14名が「通行の安全」に不安
15名中14名が、空き家前の死角や夜の暗さで、通行時に不安を感じていると回答しました。
空き家によって、日々の通行・防犯・防音などで最も困っている影響を1つ選んでもらった結果です。近所の空き家で困ることとして、通行時の安全に関する2項目に回答が集中しました。
近所の空き家で最も困っている影響(n=15)
※1名の項目は参考傾向
草木で見通しが遮られる困りごとと、夜の暗さが7名ずつで並び、合わせて15名中14名が通行時の不安を挙げています。日常の動作に直接の影響はないと答えたのは、15名中1名でした。
自由回答では、子どもと一緒に通る場面や、子どもの通学・帰宅時間を気にかける声が多く見られました。回答が集中したのは、空き家の前を通る日常の移動の場面です。
草木がはみ出し、角地の見通しを遮る(7名)
15名中7名が、空き家の庭木や雑草で見通しが遮られ、通行時に事故の危険を感じていました。
この7名は全員、角を曲がる際などに、車や自転車、歩行者とぶつかりそうになった体験を書いていました。7名中6名は、子どもと一緒に移動している場面です。
角から急に飛び出してきた車と衝突しそうになり非常にヒヤッとしました。
——40代の居住経験者
空き家の敷地から伸びた庭木や生垣、雑草が道路側にはみ出し、曲がり角の先が見えなくなっている状況が共通しています。住宅街の狭い生活道路で、通るたびに不安を感じているという声もありました。
夜、空き家の前が暗くて怖い(7名)
15名中7名が、夜に空き家の周辺が暗い死角になり、帰宅時に不安を感じていました。
7名中6名は、夜は明るい道へ遠回りするなど、通る道を変えていました。仕事帰りや買い物帰りの大人だけでなく、子どもの帰宅時間を心配する声も複数ありました。
子どもが部活から帰ってくる時間と重なると、そこを通るのが少し心配でした。
——30代の居住経験者
暗さの原因として、空き家の植木が伸びて街灯の光を遮っていると書いた回答者もいました。人の出入りがなく、誰かがいても気づきにくいという不安も、複数の回答に共通しています。
草木のはみ出しも夜の暗さも、空き家の敷地の外で起きている困りごとです。毎日前を通る住民には身近な問題でも、離れて暮らす所有者からは気づきにくい変化といえます。
空き家の所有者に言えない・分からない|15名中13名が直接やり取りできない
15名中13名が、空き家の所有者に「顔見知りで言えない」「連絡先が分からない」と回答しました。
困りごとがあっても、住民が所有者に直接伝えるのは簡単ではありません。空き家問題に関して、地域コミュニティや対人関係で最も精神的ストレスを感じている点を1つ選んでもらった結果です。
空き家をめぐる人間関係のストレス(n=15)
※2名の項目は参考傾向
上位2項目を合わせると15名中13名です。理由は「所有者との関係が近い」と「所有者が不明」という正反対の2つに分かれていますが、どちらも所有者と直接やり取りできない点は共通しています。
このほか15名中2名は、空き家の落ち葉掃除などを近隣住民が担っていることにストレスを感じていました(※参考傾向)。
所有者が顔見知りで、気まずくて切り出せない(7名)
15名中7名が、所有者が昔からの顔見知りのため、管理のお願いを切り出せずにいました。
自由回答では、庭木の枝や建物の傷みが気になっても、長年の付き合いを考えると言い出せなかったという声が並びました。所有者が高齢になったり、施設に入居したりして空き家になったケースもあります。
相手の高齢化や家庭の事情を察するとなかなか切り出せず、結局当たり障りのない挨拶だけで終わらせてしまいました。
——40代の居住経験者
自由回答には、所有者を責める言葉ではなく、相手との関係を気づかう言葉が多く見られました。言い出せないのは、困っていないからではなく、関係を大切にしているからだと読み取れます。
所有者が誰か分からず、連絡できない(6名)
15名中6名が、所有者の連絡先や相続関係が分からず、相談先も見つからないと回答しました。
自治会で何度も話題に上がっても、近所の誰も所有者の現在の連絡先を知らない。こうした状況を書いた回答者が目立ちました。以前の住人が転居して郵便物だけがたまっている、元の所有者が亡くなり今の所有者が分からない、といった声もあります。
困っている人がいても、誰が動くのかが曖昧なまま時間だけが過ぎてしまうのが一番のストレスでした。
——30代の居住経験者
所有者が不明なままだと、草木が伸びても勝手に手を入れられず、見守るだけになっていたという回答もありました。直接伝えられないとき、住民が頼っているのが次の章で紹介する市の窓口です。
空き家の所有者の方へ。近所の方は、
気になっていても言い出しにくいものです。
売却・買取は北和エステートへ。
住民が選んだ相談先は?15名中12名が「市などの窓口への相談」を選択
15名中12名が、近所の空き家への対処法として市などの相談窓口への相談を選びました。
放置された近所の空き家について、「実際に起こした行動」または「真剣に検討した対処法」を1つ選んでもらったところ、奈良市役所や関係機関の相談窓口への相談が最も多い結果でした。この12名には、相談を真剣に検討した段階の回答者も含まれます。
近所の空き家への対処法(n=15)
※2名以下の項目は参考傾向
窓口への相談を選んだのは15名中12名で、残る3名は我慢を続けているか、自宅側での対策にとどまっています。
自由回答では、窓口を頼る理由として「自分たちでは所有者を探せない」「敷地に勝手に入れない」という声が複数ありました。前の章で見た「所有者と直接やり取りできない」状況が、市への相談につながっています。
自分たちだけで所有者を探したり、勝手に敷地に入ったりすることはできない
——40代の居住経験者
回答者からは、個人で直接所有者に言いに行くのではなく、記録を残して自治会や行政に相談したほうがトラブルを防げる、というアドバイスもありました。所有者との関係を保ちたい場合こそ、第三者を通す方法が選択肢になります。
奈良市の空き家相談窓口と相談の受け方
15名中12名が選んだ市の窓口には、スマホで写真と所在地を送って相談できます。
奈良市では、所有者による管理が行き届かず周囲に影響を与えている空き家について、住宅課がスマートフォンなどから写真や所在地を送って相談できる仕組みを設けています。市の案内によると、相談の流れは次のとおりです。
- 敷地の外に影響が出ている空き家を見つける
- 相談用サイトから、問題の箇所の写真と所在地を投稿する
- 住宅課が内容を確認し、現場を確認する(委託事業者が行う場合もある)
- 所有者などを調べ、適正な管理を依頼する文書を送る
空き家の状況や所有者調査の結果によっては、文書の送付に時間がかかったり、送付できなかったりする場合があることも案内されています。所有者が分からない空き家でも、市が所有者を調べる仕組みのため、相談をあきらめる必要はありません。
また、空き家に関する幅広い相談は、市と委託契約を結ぶNPO法人空き家コンシェルジュが、面談・電話・メールなどで受け付けています。
出典:奈良市「適正に管理されていない空き家の相談について」「奈良市の空き家相談窓口」(2026年10月31日確認)
回答者の自由回答でも、電話での相談や窓口への来訪、自治会長と一緒の相談など、さまざまな方法がとられていました。なお、受付方法や連絡先は変わることがあるため、相談前に奈良市の公式ページで最新の情報を確認してください。
相談以外の選択肢(我慢している2名、自衛策をとった1名)
15名中2名が、角が立つことを恐れて、何も行動できずに我慢を続けていると回答しました(※参考傾向)。
我慢を選んだ回答者からは、所有者や親族との関係を気にして、役所への連絡を言い出せなかったという声がありました。
もし所有者の方やその親族に知られたら近所付き合いで気まずくなるんじゃないかと不安になり、結局何も言い出せませんでした。
——20代以下の居住経験者
もう1名は、近所の住民の間でも空き家への受け止め方に温度差があり、一部の人だけで動くことにためらいを感じていました。
自衛策をとった1名は、自費で敷地の境界に目隠しフェンスとセンサーライトを設置しています。自宅側の安全やプライバシーが確保でき、安心につながったと振り返る一方、空き家そのものの状態は変わらないままです。
一人で名乗り出ることに抵抗がある場合は、自治会で状況を共有し、自治会長などと一緒に相談する方法もあります。実際に、自治会を通じて市へ相談した回答者が複数いました。
奈良市に空き家相談をした住民のリアル|10名中10名が「改善まで時間がかかった」
実際に相談した10名中10名が、相談後も改善までに時間がかかったと振り返っています。
窓口への相談を選んだ15名中12名のうち、自由回答から実際に相談したと読み取れるのは10名でした(残る2名は、窓口を調べた段階)。この10名全員が、相談後すぐには改善しなかった経緯を書いています(自由回答を筆者が分類)。
実際に剪定などの対策が行われるまでに数ヶ月以上の長い期間がかかり…
——40代の居住経験者
一方で、10名中5名は、担当者が丁寧に、または親身に話を聞いてくれたとも書いています。現地確認をしてもらえた、状況を把握してもらえて安心した、という声もありました。
相談がすぐに解決につながるわけではありません。しかし、市に状況が伝わり、所有者への働きかけが始まるきっかけにはなっています。時間がかかる前提で、早めに動くことが大切です。
改善まで時間がかかる理由
相談した10名中10名が、所有者の確認や連絡の手続きを、時間がかかった理由に挙げていました。
回答からは、所有者を調べて連絡がつくまでに時間がかかることが、共通の理由として読み取れます。私有地のため、行政が直接敷地に入って伐採や撤去をするのは難しいと説明を受けた回答者も複数いました。
奈良市の案内でも、空き家の状況や所有者調査の結果によっては、管理を依頼する文書の送付に時間がかかる場合や、送付できない場合があるとされています。
また、15名中5名が、相談後の対応状況を住民に知らせてほしいと要望していました(自由回答を筆者が分類)。市の案内によると、相談件数が多いため、住宅課から相談者へ対応状況を連絡することはしておらず、知りたい場合は電話やメールで問い合わせる形になっています。経過が気になるときは、こちらから状況を確認してみましょう。
経験者が勧める相談のコツ
15名中10名が、空き家に困ったら早めに相談することを勧めていました。
経験者が勧める相談のコツ(n=15)
※割合は15名を母数に算出
早めの相談が15名中10名、写真などで記録を残すことが15名中5名でした。記録には、日付や日時を添えることを勧める声もありました。
このほか、「自治会や近所だけで抱え込まない」「困っている内容を整理して伝える」というアドバイスも複数見られました。
すぐに解決するとは限らないので、記録を残して相談することが大切だと思います。
——30代の居住経験者
敷地に勝手に入ることはできないため、写真は道路など敷地の外から撮影します。草木のはみ出しは昼間に、暗さは日が暮れてからの様子を撮っておくと、状況が伝わりやすくなります。改善まで時間がかかるからこそ、「早めに」「記録を添えて」「自治会と一緒に」相談することが、回答者の経験から見えてきた現実的な進め方です。
空き家を持つ方へ|近所の声から見えること
近所の住民は、困っていても所有者には直接言い出せず、市の窓口を通じて状況を伝えています。
今回の調査では、15名中7名が「所有者が顔見知りで言えない」と答えました。所有者に苦情が直接届いていなくても、近所に困りごとがないとは限りません。
住民が奈良市に相談すると、市が現地を確認し、所有者などを調べたうえで、適正な管理を依頼する文書を送る流れが案内されています。所有者の側から見ると、近所の困りごとを最初に知るのが、市からの文書になることもあります。
今回、住民の困りごととして多く挙がったのは、次の2つです。
- 庭木や雑草が道路側にはみ出し、角地の見通しを遮る(15名中7名)
- 夜、空き家の周辺が暗い死角になる(15名中7名)
どちらも、定期的な剪定や草刈りで和らげられる可能性がある困りごとです。遠方に住んでいて管理を続けるのが難しい場合は、活用や売却、買取も含めて、空き家の今後を早めに考えておくと安心です。
よくある質問
Q:近所の空き家の苦情は、どこに相談すればいいですか?
A:15名中12名が、奈良市役所など行政の相談窓口への相談を選んでいます。奈良市では住宅課が、管理が行き届かず周囲に影響を与えている空き家について、スマートフォンなどから写真と所在地を送って相談できる窓口を設けています。受付方法は変わることがあるため、相談前に奈良市の公式ページで確認してください。
Q:空き家の所有者が不明でも、相談できますか?
A:所有者が分からない空き家についても、市へ相談した回答者がいました。奈良市の案内では、相談を受けた後に住宅課が所有者などを調べ、管理を依頼する文書を送ります。ただし、状況によっては文書の送付に時間がかかったり、送付できなかったりする場合もあります。回答者からも、所有者の確認に時間がかかったという声が出ていました。
Q:奈良市に空き家の相談をすると、改善までどれくらいかかりますか?
A:期間は一律ではなく、実際に相談した10名中10名が「時間がかかった」と振り返っています(自由回答を筆者が分類)。剪定などの対策が行われるまで、数か月以上かかった例もありました。
Q:空き家の相談窓口に行く前に、何を準備すればいいですか?
A:15名中5名が、危険な箇所を写真などで記録してから相談することを勧めています。自治会で状況を共有し、自治会長などと一緒に相談した回答者も複数いました。
Q:実家が空き家です。近所から何も言われていなければ、問題はないと考えていいですか?
A:そうとは限りません。15名中7名が、所有者が顔見知りのため管理のお願いを切り出せないと回答しています。近所の方は気づいていても、直接は言い出せないことがあります。住民から市へ相談があれば、管理を依頼する文書が届く場合もあるため、早めに空き家の状態を確認し、今後を検討すると安心です。
まとめ
近所の空き家について、15名中14名が通行時に不安を感じ、15名中12名が奈良市など窓口への相談を選びました。
- 困りごとは、草木による見通しの悪さと夜の暗さ(合わせて15名中14名)
- 所有者に言えない・連絡できない(15名中13名)ときは、個人で抱え込まず市へ相談する
- 相談後は、改善まで時間がかかる(相談した10名中10名)。早めに、写真などの記録を添えて、自治会と一緒に相談するのが現実的
- 空き家を持つ方は、近所の声が直接届いていなくても、早めに状態を確認し今後を考えておくと安心